移ろいの照明
人は、太陽の位置と色温度の一日の変化というものに様々な心理的な影響を受けていることは、前にもお話ししました。もはや昔の一日のような、人間的な規則正しいリズムを取り戻すことは無理でも、みなそれぞれの日常のなかで、できる範囲で人間らしいリズムを取り戻したいと思っているのではないでしょうか。
一日の大半の時間を過ごすといっても過言ではないようなオフィス空間などでは、この自然光の移ろいを照明計画に取り入れる提案をすることがあります。出勤時から昼間にかけては高い位置からの高い色温度の光(白っぽい光)で、これから働くワーカー達のモチベーションを上げる光を作ります。
そして、夕暮れ時から帰宅に向かう時間帯には低い位置からの低い色温度の光(赤っぽい光)で、副交感神経が優位になるような光を作ります。
また、長時間滞在するようなリゾート施設のプールなどでは、利用する時間帯によって、全く違う印象を受けられるように光の移ろいを展開することができます。その時も、自然光の変化に沿うそうな考え方が自然な方法かと思います。空間の光が昼から夜に移ろうと同時に、プールの水面が水から鏡へ性質を変えていく様も楽しむ事ができるのです。
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