光で導く
夜間、人を呼び込んだり、人の流れを作ったりするのに最も活躍するのが光の存在です。サインで動線を指示したり、看板を掲げたりするのは簡単ですが、光の置き方を整えるだけで自然と人は導かれていきます。難しい手法や複雑な仕組みは必要ありません。光をどこに置くかが重要なのです。どこにでもあるようなダウンライトでも、どの面を明るくするためかの役割を与えてあげる事で、なくてはならない存在になります。人が、責任ある仕事を任されると凛としてくるように、光も自分の果たす役割を与えられると力を発揮します。
左の例は、入口がどこだか分らなかったビルに光のウェルカムマットを敷いて人を導くという簡単な提案です。柱の脇にダウンライトをつけて、柱の側面を照らし出しながら床を明るくすることで、遠方からも、林立する柱の面が浮かび上がり、迷い込んだ森の中で希望の光に吸い込まれていくような気持になります。
右の例は、オフィスから駅までの道が暗くて防犯上問題がある場所です。ポール灯から放たれた光は、空中に散って殆どその力を発揮することができません。床にたどり着いた光がわずかに床を照らすのみです。折角の連続する腰壁も暗がりでは存在感がありません。光と腰壁の両者の力を発揮してもらうために、腰壁を光であてて、その面の明るさで人々を導いてあげるという事例です。
今ある地域が、光の有り方を工夫するだけで確実に豊かになります。環境に携わる人々にコツコツと訴えていきたいと思います。
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