細く長く変身する
イメージした光を実際に実現するために、頼りになる道具が幾つかあります。「あの光源でこの位置から照射する。」ということが決まっても、そのままイメージした光ができる場合ばかりではありません。創造していた光より微妙に色味が違うう・・・もっとシャープな光をだしたい・・・思ってもみなかった影があんな所にでてしまった・・・という具合に、思いもしないアクシデントが起こるのが光というものです。そのためにも、色々と助けてくれる道具が必要です。言い換えれば、道具との組み合わせにより、様々な表情を創れるということにもなります。その一つに、レンズやフィルターなど照明器具の前面に付けて、光の配光や強弱や色味を変える手段があります。ここでは、レンズの中の、スプレッドレンズというものをご紹介いたします。
スプレッドレンズとは、光を屈折させて、楕円配光にするレンズです。円形の配光を相似形で広げたり絞ったりするのではなく、円形を楕円形に細長く広げるイメージです。(写真1左の配光から右の配光に変化)一方向に光を広げる様に拡散させるため、ボーダー模様のようなレンズになります。(写真2)スプレッドレンズは照射したい場所が一方向に細長いような場合に使用します。壁を明るくする目的で壁際にダウンライトをつけるような時も、スプレッドレンズを使用すると、ダウンライトの灯数を減らすことができますし、余計な所に光が行かずにすみます。
ここであげた実例は、高層ビルの外構を29階という高所から照射するという実験です。このビルの顔ともいえる敷地周りに植え込まれた緑を、帯の様に高所から明るくすることで、どこから降り注ぐのか一瞬わからないような光により、グリーンベルトが浮かび上がります。たった1灯のキセノンサーチライトの光が(写真3)スプレッドレンズを装着することで、帯のようなグリーンを引き立たせます。(写真4)
写真1
写真2
写真3
写真4
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