太陽高度に合わせて光の位置を下げてみる
人は、光の色味や位置によって、様々な心理的影響を受けているというお話は何度かしています。それは、古来から慣れ親しんできた太陽の動きがインプットされているからといわれています。日中の高い高度から差し込む高い色温度の光(白っぽい)によって、活動的な気持ちになり、夕方の低くなった夕日の低い位置からの低い色温度の光(赤っぽい)によって、安らぎのモードに切り替わります。さらに、光の位置を変えることで、屋内と屋外の関係性を変えることもできます。
写真はホテルの室内プールです。昼、夕方、夜、と3つのシーンをつくりました。昼のシーンは、(写真は外が夜ですが。)天井面に光を当てて、上から降り注ぐ日中の外光を思わせる光環境をつくると同時に、スケールの大きい天井面を見せることで、その建築の高さ感を強調しています。そして、太陽高度が低くなるとともに、明るさも落ちて色温度も低く(赤っぽく)なってくる外光とともに、室内の光も上部の光を消して、低い位置の低い色温度の光のみを点灯しています。(夕方のシーン)それによって自然光が人に与える影響と同じように、照明が安らぎと落ち着きの空間を創り出しています。さらに水中照明を落とすことで、(夜のシーン)天井が闇になり、空間の仕切りが消え、夜空の下にいるような感覚を与えています。又、内部が暗くなることで、外の輝度の高い物が視野に入り、ガラスの存在感が失われ、横方向の空間も外部との一体感を感じさせています。プールの水中照明をトーンダウンしたことで、水面の鏡の性質が強くなります。そして周辺の輝度が映り込み、まるで湖の畔にいるかのような光を創り出しています。
昼のシーン
夕方のシーン
夜のシーン
模型写真
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