立体を平面にする光
三次元の空間を二次元の紙面に表現したい時、空間の奥行きや立ち上がりなどの厚みを書き込むことが重要なポイントとなります。我々は、この厚みを認識することで立体感を感じるからです。
逆にこの厚みがないと、途端に物が平面的に見えてしまうのです。言い換えれば、エッジを鋭くすればするほど立体も平面に見えてくるのです。二次元で表現した絵がより三次元らしく見えると人はうまい絵だ、と思うのと同じように、三次元の空間をまるで二次元のようにみせたとしたら、それはまた不思議で魅せられてしまうのでしょう。
天窓から見える空が、遠くの天に繋がって見えるのは、地球に生きる自分の日常の一コマとして安心を与えてくれます。
しかし、その天井に開けられた天窓の開口の切り口に厚みが無くなると、途端にその景色が一枚の絵のように感じられ、青い空の部分に触れそうな不思議な感覚を覚えます。
光と造作の関係を操れば、立体さえも平面にしてしまう事が可能なのです。

厚みのある天窓

厚みのある天窓

厚みのない天窓(ジェームズ・タレル)
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