ディズニーランドのこだわり
非日常の光の話をもうひとつ。
徹底的に非日常にこだわった場所として代表的なのは、なんといってもディズニーランドでしょう。パーク内に入ると、照明は勿論の事、あらゆる面での工夫により、ゲストは魔法に掛かったように夢の世界に引きずり込まれます。
環境の面でいえば、回りの景色を完全にシャットアウトすることで、日常からの脱却を可能にしています。昼間は土地を高く盛ることで、周辺ホテルも葛西臨海公園の観覧車もほぼ見えません。夜間はエレクトリカルパレードやプロジェクションマッピングが映える様に極力歩行部分の照度は抑えており、周辺環境はシャットダウンされてしまいます。
屋内についても、「ホーンテッドマンション」や「ビッグサンダーマウンテン」では誘導灯や非常用照明によって、現実に引き戻されるということがありません。基準を満たした照明が設置されていますが、通常時は消灯していて、緊急時のみ点灯する仕組みになっています。消防法では常時定められた以上の照度を出さなければいけないのですが、消防法施行規則第28条の3では、「利用形態によりとくに暗さが必要である場所」では、緊急時に点灯する仕組みがあり、一定の基準を満たしていれば、消灯しておくことができます。
夜間の通路の照明を落とし、アトラクションやパレードの光をより効果的に見せるようなアドバイスは照明デザイナー側でできたとしても、これらの消防法に関わるような提案は、運営側の企業の考え方で決まってしまいます。そのあたりが、なかなか越えられない我々の壁のひとつかもしれません。
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