曲面鏡と遊ぶ
金属の鏡面仕上げ素材のオブジェは、時々公園やパブリックなスペースなどで見かけます。表面に鏡としての性質を持つオブジェは、その形の放つチャーミングな雰囲気とともに、オブジェ自身に背景が映り込むことで、周囲に溶け込む独特な風景を作り出します。近寄って見る時の近景から、次第に遠ざかりながら見る遠景に至るまでのシークエンスは、どこまでがオブジェの輝きなのか、どこまでが背景の映り込みなのかが混乱してしまうような不思議な感覚に襲われます。そしてやっと混乱から脱出したと思うくらいの距離に来たとき、そのオブジェ自身が床面におとした影に気が付きます。更にその中の映り込みに自分がまったくいなくなる頃には、オブジェ自身の床の影が、オブジェ自身に映り込んでいる事に気が付きます。平らな鏡と違う曲面を持つオブジェであるがゆえに、その自身の影の映り込みが歪んでいることもわかります。自身の影の映り込みの歪みまでを計算し、デザインしたカーブを使ったオブジェができるとしたら、楽しいのでしょう。
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